訪問看護師とは、看護ステーションに所属して利用者の自宅にひとりで訪問し、看護措置を行うお仕事です。「そういえば、看護学生時代に在宅看護実習をやったなぁ」と思い出している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな訪問看護師ですが、実は深刻な人材不足に悩まされています。厚生労働省の平成29年度の調べでは、42万人の在宅看護者を約3万人強の訪問看護師で支えているというデータも出ているほど。
これからの少子高齢化社会に対応すべく、専門知識を持った多くの訪問看護師が求められている今、第一線で活躍できるような人財になるにはどうしたらいいのでしょうか。さらに、訪問看護師になるために必要な資格や実務経験などの情報をご紹介します。
訪問看護師になるためにはどんな資格が必要?
訪問看護師の拠点となる訪問看護ステーションは、在宅で療養生活を送る利用者に、保険内で質の高い看護サービスを提供する機関です。令和5年度(2023年)の調査では、全国各都道府県に15,697ヶ所のステーションがあり、国の政策などもあって毎年増加傾向にありますが、ほとんどの場合が看護師ひとりで利用者宅に出向いて、医療サービスの提供を行います。
利用者宅にひとりで訪問する仕事となれば、専門的な資格が必要であるように思えるかもしれませんが、訪問看護師になるために最低限必要なのは、看護師の国家資格のみ。条件だけで見れば新卒看護師でも可能ですが、一般的な訪問看護ステーションでは病棟勤務の実務経験3年以上の看護師が求人対象になっています。
その理由は、利用者の全身状態を見るためには、臨床経験が必須となるからです。ただし、民間企業のステーションでは病棟未経験の新卒を採用するところもあります。といっても、配属されて早々にひとりで訪問するわけではなく、最初のうちは先輩について知識や技術を学んでから独り立ちするので、安心です。
■資格認定制度(日本看護協会)
救急看護や緩和ケアなどに並び、訪問看護は21の認定看護分野に名を連ねています。訪問看護師としてスキルアップを考えるなら、より高度な知識や技術をもつ認定看護師になるという選択肢もあります。
訪問看護のスペシャリストは、地域包括ケアシステムの推進力となる存在として、各方面から今後の活躍への期待が寄せられています。興味のある方は、勉強を検討してみてはいかがでしょうか?
訪問看護師に向いているのはどんな人?身につけておきたいスキルは?
利用者の自宅にひとりで訪問し、患者やその家族に寄り添ったサポートを幅広く行う訪問看護は、どのような方に適性があるのか、また、いかなるスキルが求められるのかをご紹介します。
■訪問看護に向いているタイプ
たくさんの患者を受け入れる外来や病棟とは異なり、訪問看護では一人ひとりの患者と長い期間にわたって関係を構築していきます。たとえばこのような資質を持った方が、訪問看護の現場で求められています。
・挨拶やマナーのしっかりした方
・人と話すのが好きな方
・限られた時間で地域医療に貢献したい方
・少人数の職場が好き
・介護職に興味がある
■訪問看護師を目指すなら身につけておきたいスキル
訪問看護の現場で役立つスキルには、こんなものがあります。ぜひ、今後のスキルアップの参考にしてくださいね。
・基礎看護技術
基本的にひとりで対応するので、段取りよく医療措置を施す技術が必須です。また、状況に応じて消臭効果のある新聞紙や、防水シーツにできるゴミ袋など、家にあるグッズを利用する柔軟性を持ったケアが在宅看護には必要です。
・コミュニケーション力
患者さんの気持ちによりそい、きめ細かな気配りができること。限られた時間の中であっても、じっくりと話に耳を傾けること。訪問看護師にとって、利用者とその家族とのコミュニケーションは、とても大切な要素です。「〇〇さんが来ただけで、家が明るくなるの!」そのような、訪問看護師冥利につきる言葉をいただければ一人前と言えるでしょう。
・マネージメント力
訪問看護では、利用者の生活全般を考慮したうえで、無理のない看護計画を立てる必要があります。利用者の思いを汲みながら、主治医や専門スタッフとも連携を取り、具体的な目標を定めて看護計画を進めていきます。利用者のモチベーションを保持しながら、計画にそって看護を進めていくマネージメント力も、訪問看護師にとっては欠かせないスキルです。
訪問看護師の収入はどれくらい?勤務先はどこで探すのがいいの?
病院勤務などと比較すると、どのくらいのお給料がもらえるのか、というのも気になるポイントですよね。ここでは、訪問看護師の収入を大まかなイメージでとらえておきましょう。さらに、訪問看護のお仕事探しについてのヒントもご紹介します。
■訪問看護師の収入について
訪問看護師の雇用形態には、常勤と非常勤があり、時給換算すると常勤のほうが一般的にはお給料は高くなります。給与は病院勤務と同じで、看護師経験数やその他キャリアによって変動します。現在は猫の手も借りたい人手不足ゆえ、高待遇のお仕事が多いのも特徴。残業や夜勤がなくても、比較的条件の良い求人に出会えるかもしれません。常に最新の動向をチェックすることをオススメします。
■勤務先を探すときのポイント
訪問看護は、一般的に「夜勤なし、土日休み」という条件が多いので、家庭との両立も可能です。「午前中に〇件訪問、お昼をはさんで午後に〇件訪問すれば終業」というように、一般的なパートのような感覚で働けるケースもあります。ただし、訪問看護はまだまだ発展段階の事業。訪問看護師の数が少ない事業所に入ると、残業が多く発生したり、思うようにお休みがとれなかったりと予想外の事態に陥る可能性も…。
そんな転職後のミスマッチを防ぐためにも、以下のポイントを押さえて、お仕事探しを進めていきましょう。
・しっかり運営されている求人サイトや信頼できる知人からの紹介で探す
・比較的好条件の揃った、大きな医療法人や企業が運営するステーションに絞って検討する
・看護職に強い派遣会社や転職エージェントで探すと、じっくり相談をしてもらえるので未経験者も安心
夜勤なし・土日休み!訪問看護師のお仕事探しにはパソナメディカルがおすすめ
市場ニーズが高く、一般的に夜勤や土日出勤がないためプライベートとの両立が比較的しやすい訪問看護師。勤務条件の他にも、自分らしさを発揮しながら専門性を高められる、長く働ける、地域医療に大きく貢献できるといった点も、やりがいにつながる大きな魅力と言えるでしょう。
これから訪問看護師を目指してみたいけれど、どうやって探せばいいのか不安に思っていたり、職場選びで迷っていたりされている方は、ぜひ一度パソナメディカルにご相談ください。自分らしい働き方ができる職場がきっと見つかりますよ。